肛門のトラブルは排便のトラブル
―便秘と肛門疾患の“切り離せない関係―
痔核(いぼ痔)・裂肛・痔瘻などの肛門疾患は、多くの方に起こる身近な病気です。
ただし、見逃されがちな重要ポイントがあります。
それは 肛門のトラブルの背後には、ほとんどの場合「排便習慣のトラブル」が存在する という事実です。
私たちが大切にしているキーワードは
「肛門のトラブルは排便のトラブル」
肛門を治療しても、排便習慣が改善されなければ、同じ問題が再発することは珍しくありません。
手術で肛門を整えても、排便習慣がそのままなら“原因”が残ったままです。
逆に、排便を整えることこそが、肛門疾患の根本的な治療につながります。
ここでは、再発防止のために今日から実践できる5つのポイントを紹介します。
① 強いいきみは肛門の大敵。力むクセをやめよう
固い便・便秘・出しにくさは、強いいきみの大きな原因です。
いきみは肛門に強い圧力をかけ、出血・腫れ・痛みなど、さまざまな肛門疾患を悪化させます。
手術後の再発を防ぐ最大のポイントは、
「自然に出る排便」への改善をすること。
まずは、便を柔らかく保ち、落ち着いた排便環境を整えることが重要です。
② 排便時間は“5分以内”が基本
トイレに長く座る習慣は、肛門を持続的に圧迫し、痔核などの再発リスクを高めます。
原則は 5分以内の排便習慣。
興味深い研究では、哺乳類の排便は平均12秒程度で終わるとされています。
私たちも「長く座る=出る」わけではありません。必要以上にトイレに居続けないことが大切です。
③ 水分・食物繊維・運動で“出やすい腸をつくる
排便を整えるための三本柱は 水分・食物繊維・適度な運動。
- 水分:1.5〜2L/日を目安に
- 食物繊維:野菜・果物・海藻・きのこ・全粒穀物を意識して
- 運動:ウォーキング、ストレッチ、軽い筋トレなどを継続的に
腸が動きやすくなれば、自然と「いきまずに出せる」排便リズムに近づきます。
④ アルコール・刺激物の摂りすぎに注意
アルコール、辛いもの、カフェインなどは腸を刺激し、
下痢や肛門周囲の炎症を引き起こしやすくなります。
便がゆるい日が続くと、肛門粘膜は弱り、トラブルを繰り返す原因になります。
“適量”に気をつけるだけでも、再発リスクは大きく減らせます。
⑤ 排便を観察する習慣をつけよう
―肛門だけでなく、腸のトラブルの早期発見にも―
排便は体が発する最も分かりやすいサインです。
特に、腸のトラブルは便の変化に最も早く表れます。
- 色
- 形
- 太さ
- 硬さ
- 回数
- 出血の有無
- 実際の出しにくさ
これらを軽く確認する習慣をつけるだけで、肛門疾患の悪化はもちろん、
大腸ポリープ・炎症性腸疾患・腸の動きの異常など、腸の病気を早期に見つけるきっかけにもなります。
特に、
- 便が細い
- 真っ黒
- 赤い血が混ざる
- 以前より硬い or 柔らかすぎる
- スッキリ出ない状態が続く
などは、腸が発している“早めのSOS”です。
まとめ:再発を防ぐには、肛門だけでなく排便そのもの”を治すこと
肛門疾患は、肛門だけの問題ではありません。
排便習慣を整えることが、手術治療の効果を長持ちさせる最大のポイントです。
私たちが伝えたいのは、
「肛門を治すなら、排便も治す」
「肛門のトラブルは排便のトラブル」
排便習慣を整えることは、今ある症状の改善だけでなく、将来の肛門・大腸の健康につながります。
気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

079-237-0301

