おしりの病気
「おしりの病気」というと真っ先に思い浮かぶのは「痔」かもしれませんが、おしりにはそれ以外にも多くの疾患が存在します。これからおしりの組織や疾患、処置についてご説明します。

肛門周辺の組織について
肛門周辺には肛門括約筋と呼ばれる肛門を閉じるための筋肉があり、内肛門括約筋と外肛門括約筋に分かれています。
また、静脈叢(じょうみゃくそう)と呼ばれる細い血管が集まった部分を中心に、それを支える結合組織がいくつか存在します。これを肛門のクッションといいます。
肛門のクッションには排便を助けたり、便やガスを漏らさないという役割があります。 さらに歯状線を境に、痛みを感じる肛門上皮と、痛みを感じない直腸粘膜があります。
痔について
●痔核
「いぼじ」といわれる内痔核 外痔核 脱肛の総称です。
排便時のいきみなどによって肛門周辺(クッション)がうっ血することによりおこります。
歯状線より上(内側)にできる内痔核と歯状線より下(外側)にできる外痔核があり治療法が異なります。
●内痔核
歯状線より上にできる痔核です。
排便時のいきみや下痢・便秘などで肛門のクッション部にかかる負担によって起こります。
長時間の同じ姿勢や妊娠・出産などでも悪くなります。
基本は生活習慣の改善と薬物療法で多くの症状は改善します。
生活に支障がでるⅢ度以上(場合によってはⅡ度も)は手術療法が進められます。
手術療法は注射による硬化療法や根治術が行われます。
●外痔核
歯状線より下にできる痔核です。
多くは問題となることが少ないですが、注射による硬化療法の適応がなくⅢ度以上の内痔核を伴う場合は手術が必要になることがあります。
●血栓性外痔核
肛門部の血行が悪くなり、突然肛門周囲に硬いしこりができます。
激しい痛みを伴ったり、破れて出血することがあります。
基本は生活習慣の改善と薬物療法で多くの症状は改善します。
痛みや腫れが強い場合はは手術療法を行います。
裂肛とその関連疾患
裂肛が原因で引き起こされる疾患があります。

●裂肛
裂肛は、歯状線より下にある肛門上皮の部分が切れる疾患です。
痛みがあって治りにくいため、慢性化や悪化しやすいことがあります。
●肛門ポリープ・皮垂
裂肛を繰り返すことにより皺の部分の傷が固くなり内側と外側に皺が追い出されることがあります。
内側に追い出されれば肛門ポリープ、外側に追い出されれば皮垂になります。
繰り返すと肛門狭窄となり手術が必要となることがあります。
●肛門狭窄
裂肛を繰り返すことにより狭窄をおこします。
上皮成分が足りない場合には手術が必要になることがあります。
肛門周囲膿瘍・痔瘻
●肛門周囲膿瘍
歯状線のくぼみから細菌が肛門腺に入り込み肛門周囲に膿がたまったものです。
肛門周囲が腫れて激しく痛み、発熱することがあります。
皮膚が破れて自然に膿が出ると改善することもありますが、痔瘻の前段階となり治療は膿を出す手術を行います。
●痔瘻
肛門周囲膿瘍が破れたり切開して肛門の奥と皮膚が交通する管ができた状態です。
薬では治らず、化膿を繰り返す間に複雑化し人工肛門が必要になったり、癌化したりすることもあります。


軟膏の塗り方


079-237-0301

